思い込みの罠・質の悪い探偵

思い込み 未分類

ある朝、instagramで友人のstoryを見ていると、ある人物の写真とキャンドルが写されており、そこには見覚えのある名前がタグづけされていました。その名前は、私がベルリンに住んでいた時に仲良くしていた友達の友達(仮にCさんと呼びます)。

名前と写真とキャンドル

直接連絡先を知っているほどではないけど、友人と共にCさんは私のアパートにも遊びに来たことがあり、若く美しく聡明でフレンドリーな女性だと記憶していました。

写真たて+キャンドル+花、Cさんの名前のタグで、私は瞬時に、訃報だと悟り、大慌て。そのタグ先の女性のインスタの投稿のコメント欄を見ると、鳩と白いハートの絵文字が並び、“天国でも踊ってね”とコメントが(彼女はダンサーでした)。やっぱり、、、と確信。

人々のコメントを見たところでは、6日前に訃報が駆け抜けた模様。自転車で事故に巻き込まれた様子。あぁ、彼女が自転車買った時に、私も見せてもらったなぁ、こんなことになるなんて、、、と思いを馳せながら、私は、なんて友人に声(メッセージ)をかけようかと、考え込んでいました。

ことの顛末を相方に話すと「なんでわかったの?」と聞くので、「インスタを辿ってコメント欄から知った」、と私が言うと、「探偵か」とつっこまれながら、相方は事実関係を知るために、別の共通の友人に「何があったの?」とメッセージしました。

宇宙が好きだったCさん

返事を待つ間にも私は、あぁ友人になんてお悔やみと励ましの言葉をかけよう、、、と考えながら、何度も繰り返しキャンドルと写真のstoryを見ていました。その投稿には音楽もついており、それはビートルズの「Across the Universe」でした。

聡明なCさんは難しい本を読んでいて、宇宙について話すのが好きで、私にもブラックホールの話をしてくれたことがありました(無知な私は全然わかりませんでしたが)。あぁ、だから友人も宇宙の音楽つけたんだなぁ、、、と、あまりにも早い彼女のこの世からの旅立ちに無常を感じていました。

しばしして、共通の友人に事情を聞いていた相方が、「別人だって」と。私は鳩が豆鉄砲を食らった顔で、「え?でも名前と写真見たよ?」と困惑。

「同じCって名前だけど、確かに1週間前にバスと事故にあって亡くなったけど、ベルリンのCじゃなくて、チリに住んでるCだって」

探偵(私)は、コメント欄は読んでましたが、Cさんが投稿していた写真の場所は確認してませんでした。Cさんの他の写真を見直したら思いっきり場所チリって書いてありました。Cさんの名前は日本人で言う、ユリちゃんとかナオコくらい、よぉくある名前なのだと思いますが、私はすっかり思い込んでますから、疑いもしませんでした。同じ名前で同じダンサーだし。

そして、Cさんのインスタには顔写真も写ってましたが、ダンサーなのでパフォーマンスの姿が多く、もう私の思い込みの色眼鏡では、全くの別人ということに気づけなくなってました。そして自分の思い込みを強く信じすぎると、ここまで盲目になるのか、と自分の軽率さ愚かさに、驚きでした。

とんだ探偵です。私の頭はテッペンが少し窪んでいるのですが、相方に「探偵さんは、ここが少し凹んでて足らないから仕方ないね」と、朝から大騒ぎした落第探偵に優しいお言葉をかけていただきました。

探偵の名は今後語らぬよう、今日でマイクを舞台に置いて去ります。

 

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