11月に公開され話題になっていたNetflixのミニシリーズ『All the Light We Cannot See』を見ました。第二次世界戦中、ナチスドイツの占領下にあったフランスのお話。パリに住む目の見えない少女、孤児院で育った天才少年ナチスドイツ兵がメインキャラクー。
原作小説(2014)がピューリッツァー賞フィクション部門を受賞しているそうで、原作と比較して批判もあるようです。が、原作を知らない私にとっては非常に興味深いストーリーでおもしろかったです。日本では『すべての見えない光』というタイトルです。
ドラマは暗すぎず、希望や愛情などが描かれています。戦争中で絶望的な状況の中、フランスの人々がナチに見つからないように助け合いながら、アメリカ軍がドイツ軍を撃退するまでが描かれています。報道は制限され言論の自由はなかった時代ですが、ラジオ電波を使って、ナチにバレないように暗号を使って、海外に情報をリークするというスリリングな頭脳戦です。
ナチスドイツを描いた映画では通常、ドイツ兵は悪者であり、完全に卑劣な敵として登場するイメージですが、このドラマで描かれているドイツ兵の少年は、妹の命を脅されており戦争に加担する以外選択肢がなかった「そうせざるを得ない状況」が描かれています。これによって、戦争というものは片方が善でもう片方が悪と言えるほど簡単ではなく、個人単位にスポットライトを当てれば、いろんな事情があり。本当は戦場に行きたくなかったり、人も殺したくない、だけどそんなこと言えない状況が。
戦争の英雄として褒め称えられた人も、戦場でのPTSDに苦しみ、現実世界に対応して生きることができなくなっていたり。人の痛みが見えると同時に、主人公の盲目の少女は聡明で強く、明るく怯まず、希望を感じさせる存在です。ナチは障がい者も虐殺していましたが、その痛ましい歴史を背景としたドラマで、主人公が目の見えない女性であるというのは一際強い意味を持つように感じました。
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このドラマで驚いた点は、主人公マリー役を務めた役者さんは、本当に目が見えない女性で、オーディションに動画を送って応募して選ばれたことです。しかも、役者経験ゼロの女性でこれが初めて演じた仕事だったと。今まで目の見えない登場人物でも健常者の役者さんが演じるのが普通だったと思いますが、目が見えない人の役であれば”その人たち”にチャンスを、そしてよりリアルな正真正銘の作品となることに意義があるのだろうなと思いました。
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とはいえ、フランス人もドイツ人も全員英語を喋ってるドラマなので、その部分は、字幕嫌いなアメリカ人用なのかな、と商業的な意図も満載ですが。だから、戦争ドラマですが、フランス人もドイツ人も言葉の壁なく喋ります。フランス人がイギリス訛りで笑っちゃいます。
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そして、俳優さんだから当たり前ですが、この物語の準主役ドイツ兵の天才少年は美しいので、多くの視聴者が最後には目がハートマークになっていることでしょう。
登場人物や結末が原作と違うそうなので、原作が読んでみたくなりました。