環境心理学の日常に関わる例がわかりやすくおもしろい(大学の本は難しいけど)

環境心理学

環境心理学を学んでいます(大学の通信)。教科書本では抽象的な理論が多く、複雑で小難しいのですが、時々おもしろい日常の例があるので、書き残しておこうと思います。環境心理学は「人と環境とのやりとり」を研究する学問です。

病院の窓からの眺めで術後の回復が変わる

病院の窓から見える風景によって、術後の回復スピードが違うという研究があります。

入院患者の窓からの眺めが、「樹木が見える」「他のビルの壁」の二つを比べた場合、

樹木が見える患者は、壁が見える患者よりも…
・入院期間が短い(8.7日)
・手術後の鎮痛剤の投与量が少なかった
・看護師の記録で良いコメントが多かった(元気、よく動いているなど)

自然の景観がある病室は、壁しか見えない病室よりも、患者の状態が良かった、回復が早かったという研究結果です。

病室の中で起こっていることは同じにもかかわらず、窓から見える景色(外の環境)によって、精神的にも身体的にも影響があるというのは驚きです。街や空間のデザインにおいて緑の大切さが重要視されるのには効果があるからなんですね。

参照:View Through a Window May Influence Recovery from Surgery

空港の騒音は子供に悪影響

空港近く、航空路の下にある学校は、一日350以上のフライト、90〜120デシベルの騒音がある環境。

調査結果では、子供たちは血圧が高く、学業の成績にも影響が出ていることが報告されています。

参照:Lecture 01 – Introduction to Environmental Psychology and Overview of the Course

環境への関心は教育や活動により異なる

環境への関心が低い人
・釣りや狩りなど消費型レジャーを好む人
・テレビをよく見る人
・ビジネスや工学を専攻する学生

環境への関心が高い人
・新聞を長時間読む人
・テレビの科学番組をよく見る若者
・家族の世話など(個人的なヘルスケア)をしている女性

参考本『環境心理学 上 原理と実践』

教育で環境に対する行動が変わる

・従来の教師から生徒へ知識を教えるアプローチ
知識を増やすことには効果があるが、積極的な環境に対する行動には結びつかなかった

・学生が主体となる「問題分析と行動訓練(IIAT)」というアプローチ
学生が特定の環境問題を分析・調査して、その問題を解決する方法を考える
知識だけでなく技術が増し、環境に関連する行動に多く関わるとの報告もある

参考本『環境心理学 上 原理と実践』

リサイクルをする人としない人の違い

・リサイクルをする人
自分の生活や物事のコントロールの所在は自分にある(内的)と考える人は環境問題に対して、自分たち個人の責任と考える。

・リサイクルをしない人
自分の生活や物事のコントロールは、運命や他者など外的にあると考える人は、環境問題に楽観的でリサイクルをしない。

環境心理学の本と動画

参考にした動画は米国のUCI大学(カリフォルニア大学アーバイン校)の講義と大学の教科書となっている本です。

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