NVC (非暴力コミュニケーション)とは?やり方、4つの要素についてわかりやすくまとめ

NVC(非暴力コミュニケーション)とは、意見の不一致や言い争いなど、対立する人間関係や問題解決に用いられるコミュニケーション手法。心理学に基づき、正しい・間違いなどの判断ではなく、共感と相互理解を重視するアプローチです。

子育てで「子どもが言うことを聞いてくれない」ということから、社内での意見対立や紛争まで、どこでも起き得る人と人の衝突を、勝ち負けを決めることよりも「何が満たされていないのか?」に注目して、解決に導きます。

NVCの正式名称とその創始者、「4つの要素」、やり方と実践方法、NVCとアサーションの違いについてまとめました。

NVCとは?NVCの正式名称とその創始者

NVCは何の略

NVCの正式名称はNonviolent Communicationで、日本語では「非暴力コミュニケーション」と訳されます。

人間の行動や葛藤の根底にある「満たされていないニーズ(求めていること)」に焦点を当て、共感的な対話を通じて相互理解を深めてコミュニケーションをはかる、心理学に基づくアプローチです。

NVCの提唱者は誰?

NVCを考えたのは誰ですか?

 

NVCはアメリカの心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって提唱されました。

マーシャル・B・ローゼンバーグ博士(Marshall Bertram Rosenberg: 1934–2015)は、差別や治安の問題で有名だったデトロイトのユダヤ人家庭に生まれる。

肌の色や信仰という「レッテル貼り」によって、人が他人に対して暴力的になる状況を体験して、強い衝撃と疑問を持ったことが、ローゼンバーグ博士がNVCを提唱する背景にあったと考えられます。

NVCとは

「非暴力」という言葉はインパクトがありますが、人によっては「非」と言う文字から受け身や何もしないような印象を受けるかもしれません。

対立が生じると、私たちはついどちらが良いか悪いか、勝ち負けという二元論的な考え方に陥りがちですが、NVCは表面の主張ではなく、その背後にある満たされていないこと「ニーズ」にフォーカスします。

それによって、相手が本当に求めていたこと・訴えていたこと・背景が理解でき、硬直していた視点が変わることで別の選択肢が見えてきます。

とても困難に見える対立、例えば相続をめぐる家族間の争い、殺人や暴行などの加害者と被害者のような関係であっても、お互いを理解することができ、状況を改善することが可能であると考えられます。

NVCとアサーションの違い

効果的なコミュニケーションとして「アサーション」も知られますが、NVCとの違いは何でしょうか?

アサーションは相手の権利を尊重しながらも、自分の考えを明確に伝えることを目的としています。自己表現、主張の仕方からアプローチするコミュニケーション方法と言えます。

NVCは、相互理解を目的としており、分析や批判ではなく、非暴力的な対話を通じて協力関係を築くためのアプローチです。

平たく言うと、自分の意見が言えない人が率直に表現できるようになることを目指すのがアサーション。

わかり合えない時、双方が「訴えていること」の背後にある「求めていること」を知ってwin-winを目指すのがNVCという感じでしょうか。

NVCのやり方と実践方法

NVCの4つの要素とは?

NVCを実践する上で重要な要素が「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」です。

4つの要素をステップとして行うことで、自分自身や他者の感情やニーズに気づき、それを決めつけや責めたりしないで具体的に伝えるやり方です。

1 観察 客観的な事実を判断や評価を加えずに述べる
2 感情 自分がその状況で感じている感情を明確に伝える
3 ニーズ 感情の背景にある満たされていないニーズを理解する
4 リクエスト 自分や相手のニーズを満たすための具体的な行動を提案する

この4つのステップを通じて、相互理解と共感を深めることを目指します。

NVCのやり方の例

日常生活でNVCを取り入れる例をローゼンバーグ博士の本から見てみましょう。

例1:急いでいて子どもに怒鳴ってしまった。そんなふうに言うべきではなかった。罪悪感を感じる。私はひどい母親だ、と言う女性

ローゼンバーグ博士は、自分を非難すること、罪悪感・恥の意識も「暴力的で強制的なやり方で、自分を教育する」と表現します。

NVCのやり方で、自責の裏側にあるニーズに目を向けることをします。

子どもに怒鳴った(事実)

自分はひどい母親だ、あんな行動をとるべきではなかった(決めつけ)

どんなニーズが表現されているか?

●どんな人にも敬意を持って接したいと思っているのにそれができなかった(満たされなかったニーズ)

悲しい(感情)

怒鳴ると言う行動で、どんなニーズを満たそうとしていたのか?

●子どもに行動を改めてほしい。このままでは将来大変な目にあうのではないか(健やかであってほしいというニーズ)
●急いでいて、遅れたくなかった。間に合いたかった。=みんなと合意した約束の時間を守りたかった(満たされなかったニーズ)

その行動で満たそうとしていたニーズが見えるようになると、別の表現方法、選択肢も変わってくる。

と考える。本の中では、自分に共感できないと相手にも共感できない、とありました。

もう一つ、別の例を。とても共感が難しく見える性犯罪についてです。

例2:児童への性的虐待の罪で三度目の服役中の男性

ローゼンバーグ博士は、この男性が逮捕・服役という大きな代償を払うにもかかわらずその罪を繰り返してしまうのには「その行動がなんらかのニーズを満たしてくれるからに違いない」「ニーズが理解できれば、もっと効果的で、より代償の少ない方法を探すことができる」と言います。

この男性は子どもたちを自分の部屋に連れて行き、好きな食べ物を与えたりTV番組を見させてもてなした。

(彼にとって満たされたニーズは?)孤独の解消。人とつながる。一緒にいる。コミュニティに属する。

性的虐待の行動

(彼にとって満たされたニーズは?)理解されること。共感されること。→この男性は幼い頃に父親から同じ虐待を受けた時に感じた「恐怖」を犠牲者である子どもたちに「理解してもらえた」と感じた。

ニーズがわかると、他者を恐怖に陥れなくてもそのニーズを満たす他の方法が他にいくらでもあることが明らかになる。

まとめ

NVCは、「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」の4つのステップで考える。表面の主張で相手を裁くのではなく、その背後にある満たされていないこと「ニーズ」にフォーカスすることで真に理解でき共感できる。

平和的で理想的なコミュニケーション方法と言えます。

分かり合えずに言い争い、選択肢が見えないような状況でも、NVCの考え方ができると、思っていなかったような解決策にたどり着けるかもしれません。

参考:

The Center for Nonviolent Communication (CNVC)

マーシャル・B・ローゼンバーグ (著), NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版

マーシャル・B・ローゼンバーグ (著),「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC

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